その選手を最初に見たのは確か2001年のコンフェデレーションズカップ。
大会が始まる前のヴェルディとブラジル代表の親善試合だったと思う。
恵まれた体躯とその大きな体に似合わない細かいボールキープの技術を持つおもしろい選手だなと思ったのが最初の印象。
男の名はワシントン・ステカネロ・セルクエイラ。
浦和レッズ所属のワシントンである。
2001年コンフェデレーションズカップのブラジル代表は、いわゆるスター選手はほとんど招集されなかったけれども、後に大分やガンバで活躍したマグノ・アウベスや札幌に在籍したホベルッチもいて愉しい。しかも、GKはミランのジーダでしたし。
その親善試合は、当時、「J1最下位で降格候補だった東京ベルディがなぜブラジル代表の試合と?」ということで、ずいぶん注目を集めた記憶があります。
(たしかBS1で全国中継してました。)
2005年、ワシントンが東京ヴェルディに移籍したのは、もしかしたらこの親善試合が縁だったのかもしれません。
ヴェルディで活躍したワシントンは、翌年にレッズに移籍して、ブラジル代表時代のチームメートのマグノ・アウベスと同点で得点王を獲得します。
ここでもコンフェデレーションズカップ時の不思議な縁を感じます。
だから、今回の拡大トヨタカップで、ワシントンがジーダからゴールを奪えば、2001年ブラジル代表のチームメート同士の対決と言うことをブログのネタにしようと思っていたのですが(笑)、残念ですが実現しませんでした。
ほかにも、コンフェデレーションズカップのブラジル戦のGKは都築とジーダだったので、浦和とミランをつなぐ不思議な縁という気もしますが、これは余談。
今日の試合後、浦和のサポーターに対し、深い深い感謝の意を示すワシントンの姿を見て、本当にうらやましくなりました。
彼らがどれだけ選手たちに対して力を与えてきたか、愛情を注いできたのか。
そのことはあのワシントンの姿が雄弁に物語っていると思うし、そのことに対して、僕は深い敬意を持たざるをえません。
今日の試合を最後にチームを去る男が、「サポーターたちに対して勝利を残したい」と願い、実際に結果を残した。
そして男が試合後に示した深い感謝の気持ち。
普段から深く浦和にコミットしていない自分が浦和についてコメントするなんて、いかにも『にわか』っぽくて自分の美学に反するし、普段から札幌に深くコミットしていない人が急に札幌を語り出すと片腹痛いから。
きっと、浦和のサポーターに取ってみれば、ワシントンについて語っている僕の姿は滑稽かもしれないけど。
でも、書き残しておきたい。
今日のワシントンの姿は最高に美しかった。
本当にそう思う。
だから、僕らは自分たちの選手たちとああいう信頼関係と深い絆を結ぶことが出来れば最高だと思うし、そうしていかなければならないと思う。
まだまだやることはたくさんあるよね。