まだ何も手に入れてなかった

 試合内容なんかどうでもいい。
 「どうしても勝ちたい。」、「どうしても上でやりたい。」
 そんな気持ちを選手たちから感じなかった事が悲しい。
 僕らは全力でやっている。それはなにも試合中の応援に限らず、あの時間、あの場所にいるために仕事であったり家庭であったり学業であったり、いろいろなものを犠牲にしているわけで。
 だから選手たちにも全力でやってほしい。
 ただそれだけの事。
 今日の敗戦から得るものがあるとすれば、上に上がるために選手もサポーターも、チームに関わるものすべてが血反吐を吐くような思いをして、苦労して這い蹲って、それでやっと上への切符をつかみ取らないと意味がないと気がついたこと。
 楽にあがっても楽に落ちる。
 本当に苦労して掴み取ったものだけが血となり、そして肉になる。
 今の苦しみはきっとそのための糧なんだと思う。
 一人一人の力はきっとそれほど大きくないから。
 だからこそチームに関わるものすべての人たちの力を一つにして戦うしかない。

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