目的と結果(2)

 それでは、北朝鮮戦。日本はどのようなサッカーを展開したのか。
 それは確実にドイツ大会出場を決めるための戦いそのものであった。
 決して守備のバランスを崩すことなく、攻めにそれほど人数をかけない。カウンターを警戒し、辛抱強くボールを回し、慣れない高温多湿の環境の中、勝たなきゃ未来が開けない北朝鮮の選手を疲弊させ、勝負所で大黒を投入し、そして、少人数で2点を取った戦い方。
 これこそ大目的にそった戦いかたそのものではないだろうか。
 これほどまでに見事にゲームをコントロールした代表は久しぶりのように思う。
 試合の本当の目的をまっすぐに見つめ、マスコミが煽るような「絶対に勝たなければならない」などと言ったまやかしに惑わされることなく、大目的達成のためになすべき事をなし、なさざるべきことをなさなかった代表を僕は誇りに思う。
 本来、あの試合は引き分けでも良かった。仮に0-0でそのまま終わっても僕は大満足であっただろう。
 個々の能力では決して日本代表に勝てない北朝鮮に対し、冷徹にゲームをコントロールし、そして当たり前のように2点を取り勝ちきったのだ。
 おそらく北朝鮮の選手たちは、「点差以上の力の差」を肌で感じたことだろう。
 そして予選突破に関する我々の喜びの薄さ。
 そうなのだ。日本はワールドカップ予選は突破して当たり前と感じれる、世界のサッカー強国にようやく仲間入り出来るところまでやってきたのだ。
 この国に生まれて本当に良かった。そして良い時代に生きられることを感謝したい。

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